適正なオゾン濃度…
一体何をもってして適正なオゾン濃度なのか。
実は「適正なオゾン濃度」という言葉は非常に曖昧な言葉で、たとえば厚生労働省などによって厳密な定義が決められているわけではありません。

たとえば、オゾン濃度0.05ppm

これは人や動物がいる環境下では、安全性と効果を両立した適正なオゾン濃度だといえますが、清掃業者が人や動物がいない環境下に短時間で脱臭作業を行うには適正なオゾン濃度とはいえませんよね。
あなたにとっての適正なオゾン濃度をご理解いただくために以下ご説明いたします。

適正なオゾン濃度とは

安全と効果の両立こそが適正なオゾン濃度
安全と効果の両立こそが適正なオゾン濃度

「安全性の確保」と「オゾンによる効果を享受できる」この2つが実現できたとき「適正なオゾン濃度」となります。
逆に、どちらか一方が欠けたらそれは適正なオゾン濃度とはいえません。
適正なオゾン濃度は、家庭用オゾン発生器と業務用オゾン発生器とで異なります。

家庭用オゾン発生器の場合

人や動物がいる環境下で適正なオゾン濃度は、オゾン濃度0.03-0.05ppmです。
家庭用オゾン発生器の導入を検討している人は、あまり難しく考える必要はありません。
それがまっとうなメーカーやショップ(日本国内のオゾン発生器メーカーを教えてにリンク)であればという前提にはなりますが、とにかく「適用範囲」だけ守って使えば問題ありません。
理由は、家庭用オゾン発生器の適用範囲はオゾン濃度を考慮し、「オゾン発生量」と「室内空間の広さ(㎥)」で計算されているからです。
オゾン濃度0.03-0.05ppmというと、機器周辺でうっすらオゾン臭(オゾン臭ってどんなニオイですか?にリンク)を感じますが、機器から数メートルも離れたらほとんどそのニオイは感じない程度です。
オゾン濃度0.05ppm以下の環境下であれば、機器周辺でうっすら感じるそのオゾン臭がどうしても苦手だという人はたまにいるものの、何らかの健康被害を受ける可能性があるのか否かという意味では人や動物が何時間そのオゾン濃度環境下に滞在しても何ら問題はありません。

Ozone AI

ここから先は主に業務用オゾン発生器に関する適正なオゾン濃度について書かれていますので、家庭用オゾン発生器を使用するうえで適正なオゾン濃度を知りたいだけという方は、この先は読まなくても大丈夫です。

業務用オゾン発生器の場合

業務用オゾン発生器の場合、オゾン発生量やオゾン濃度が家庭用の比ではありません。
一般的には0.1〜0.9ppmで「除菌レベル」、1.0ppm以上で「殺菌レベル」といわれています。

特殊清掃などの厳しい現場環境では2.0ppmを超える高濃度環境で作業されます。

家庭用オゾン発生器の何十倍の世界です。
それほどまでのオゾン濃度であれば効果てきめんでしょうが、それを適正なオゾン濃度とするためにどうやって「安全性の確保」をするのか。
はい、それは無人にすることです。
人だけではありません。
動物観葉植物熱帯魚も人と一緒に退避してから業務用オゾン発生器を稼働させることで、安全性をしっかりと確保するのです。

業務用オゾン発生器の場合、人や動物、観葉植物、熱帯魚など退避させたうえで、オゾン濃度0.1-1.0ppm(ときにはそれ以上の高濃度)で脱臭除菌作業を行うことが適正なオゾン濃度である、となります。

安全に作業を遂行できる濃度

業務用オゾン発生器の場合、基本は無人環境で作業を行うことで安全性を確保しますが、なかにはオゾン濃度を高めた空間内に人が滞在したまま作業が行われるケースもあります。
家庭用ほど低濃度でもなく、完全無人で作業を行う業務用・高濃度環境下までではない。ちょうど中間あたりのオゾン濃度。たとえばオゾン濃度0.1ppmなど。

そのようなケースにおける「適正なオゾン濃度」とは一体どこの誰がそれを決め、その安全性を確認しているのか?
これは明確な基準が設けられています。
1929年に設立された、公益社団法人 日本産業衛生学会(Japanese Society of Occupational Health)という組織があります。

日本産業衛生学会では、生物学的許容値、騒音、衝撃騒音、高温、寒冷、全身振動、手腕振動、電場・磁場および電磁場、紫外放射の各許容基準等の調査を行い、それらの「安全基準」について公表し、多くの企業や団体がこれを参考にしています。
オゾンについては「許容濃度等の勧告(2022年度)」が基準です。

「許容濃度等の勧告」から

オゾンの許容濃度は「0.1ppm」となっています。

そして、その許容濃度等の勧告では、「許容濃度」はこう定義されています。

許容濃度とは、労働者が1日8時間、週間40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に、当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。

出典:日本産業衛生学会-許容濃度等の勧告(2022年度)から

これはつまり、オゾン濃度0.1ppm(業務レベルの「除菌」に相当)であれば、作業員がそこに滞在したままで作業しても「1日8時間、週間40時間程度」であれば安全に作業できることを意味しています。

オゾン濃度の計算式

オゾン濃度の計算式

オゾン濃度の計算には「理論値」と「実測値」があります。
それぞれ詳しく解説します。

理論値の計算式

オゾン発生量(mg/hr)÷容積(m³)÷2.14=オゾン濃度(ppm)

2.14ってなに?
2.14はオゾンの分子量を物質量で割ったもの。

  • 横×奥行き×天井高
  • 室内面積(㎡)×天井高(m)

容積の求め方は、(その内側の)縦×横×高さで求めることができます。
または、あらかじめ室内面積が分かっている場合、「室内面積(㎡)×天井高(m)」でも容積を求めることが可能です(室内面積は、横×奥行きから構成されるため)。

【例】
5m(横)×20m(奥行き)×2.5m(天井高)=250㎥
50㎡✕2.5(天井高)=125㎥

実測値の計算式

理論値としてのオゾン濃度÷3=実際のオゾン濃度(に近い数字になる)

実測値を割り出すとき何故理論値を3で割るの?
理論ではなく、現実では、室内換気・反応物(雑菌及び臭気物質)・自己分解などの影響を受けます。それらの要素を加味すると、実際のオゾン濃度数値は理論値からおおむね1/3程度(1/3程度で平衡状態になります)になるからです。

適正なオゾン濃度まとめ

適正なオゾン濃度とは「安全性の確保」と「オゾンによる効果を享受できる」この2つが実現できるオゾン濃度を指す。
適正なオゾン濃度は、利用シーンや機器(家庭用or業務用)によって異なる。
家庭用の場合は、製品の適用範囲さえ守って使用すれば「適正なオゾン濃度」が実現される。
業務用の場合は、①完全無人で作業を行う(オゾン濃度0.1-2.0ppmなど)②有人環境で作業を行う(オゾン濃度0.1ppm)の2つのパターンがある。
こんなところでしょうか。