
早乙女
コロナでみんながパニックになっていた頃、近所のスーパーの出入り口にオゾン水があり、そこにはこんな案内が書かれていました。
「現在消毒用アルコールが入手できない状況となっており、当店では代用品としてオゾン水をしております。オゾン水にも殺菌消毒の効果がありますので、安心してご利用くださいませ。」
これって、どのくらい意味があったのでしょうか。
当時の私はオゾン水という液体のことをまったくわからないのでなんだか怖くて使いませんでした…
うーん、残念。これはほぼ意味がありません…
オゾン水が普及することは個人的には大変嬉しいのですが、残念ながらこれはほぼ意味がありません。
案内には「オゾン水にも殺菌消毒の効果がありますので〜」とありますが、これは事実です。
ただ、そのためにはオゾン水のオゾン濃度はせめて1.0ppm程度は必要です。
目的が手指消毒ということを考えれば、1.5-2.0ppmはほしいところ。
オゾン水は生成後、「(約)21分毎に半減する」という半減期の法則というものがあり、オゾン濃度は徐々に低下してしまうという弱点、というかデメリットがあるんです。
※実際に溶存オゾン濃度計で計測すると、水質や水温などにもよりますが、おおよそ近い数値になります。
オゾン水生成直後に3ppmのオゾン濃度だったとしましょう。
生成直後:3.0ppm
21分後:1.5ppm(目的が手指消毒であればこのあたりが理想)
42分後:0.75ppm
63分後:0.375ppm
84分後:0.1875ppm
105分後:0.09375ppm
オゾン水は濃度が3.0ppmなどであっても、アルコールのように皮膚や肌がカサカサになったりしませんし、オゾン水生成器があれば水道水と電気さえあれば生成ができるという利便性もあります。
オゾン水はアルコール同様に幅広い菌やウイルスに高い効果を示しますし、加えてアルコールがほぼ効かないノンエンベロープウイルスのノロウイルスなどにも効果てきめんです。
しかし、アルコール消毒液のように生成直後の濃度が維持されないため、店舗などの施設前に手指消毒用として設置するには適していないのです。
たとえば、「数十分に1回程度の割合でオゾン水を生成してボトル内のオゾン水を入れ替えて常に濃度を保っている」などであれば話は別ですが、写真を拝見した感じではどうやらそうではなさそうだなと感じてこのような回答とさせていただきます。
当時、消毒用アルコールが入手できない状況のなか、まさに苦肉の策だったのだと思います(本当にあの頃は大変でしたからね…)。
特に感染症対策のための手指消毒って確実性が問われるので、アルコール消毒以外はなかなか難しいのが現状です。
実際に、厚生労働省でも手指消毒として認めているのは「水及び石鹸による洗浄」「アルコール消毒」の2つのみです。