
教員
教育機関で働いている者です。この度、オゾン発生器を寄贈していただきました。オゾン発生器を人がいる教室で使う際、同時に換気を行ったほうがいいのでしょうか?
仕様を確認しますとオゾン発生量はLowが10mg/hでHighが20mg/hと表記されています。
オゾン除菌の仕組みと換気の必要性についてお答えします
結論から先に書くと、換気は不要です。
また、効果の観点でいえば、換気はせずに密閉率を高めたほうがオゾンの効果が高くなります。
まずは、その場合の安全性について考えてみましょう。
オゾン発生量が最大で20mg/hで、教室の広さについては情報がなかったため、仮に65平方メートル(*1)とします。
一般的な住居の天井高はおおよそ2.5mですが、学校ということなのでこれを2.8mと仮定します。
このときの空間の広さは「65×2.8=182立方メートル」になります。
オゾン濃度を割り出すとき「理論値」と「実測値」があります。
実際のオゾン濃度に近い数値は実測値のほうになるため、今回はこれの実測値を求めていきたいと思います。
【理論値の計算式】
オゾン発生量(mg/hr)÷容積(m³)÷2.14=オゾン濃度(ppm)
→20÷182÷2.14=0.0513(ppm)
【実測値の計算式】
理論値としてのオゾン濃度÷3=実際のオゾン濃度(に近い数字になる)
→0.0513÷3=0.0171(ppm)
理論値の2.14はオゾンの分子量を物質量で割ったものであり、実測値の計算でなぜ理論値を3で割るのかというと、理論ではなく、現実では、室内換気・反応物(雑菌及び臭気物質)・自己分解などの影響を受けます。それらの要素を加味すると、実際のオゾン濃度数値は理論値からおおむね1/3程度(1/3程度で平衡状態になります)になるからです。
詳しくは「適切なオゾン濃度」をご覧下さい。
オゾン濃度0.03ppm以下であれば、人や動物がそこにいても絶対的に安全であることから、安全性については問題ありません。また、オゾンによる脱臭・除菌効果が期待できる濃度なので適切な濃度であるといえます。
次に、オゾン発生器使用時に換気が必要なときはどんなときなのか、という点について説明します。
質問者様の場合、最大オゾン発生量が20mg/h・想定オゾン濃度0.03ppm以下なので、換気は不要です。
質問者様の場合、換気は不要ですが、せっかくですからオゾン発生器利用時の換気の必要性やそのタイミングについて説明しておきたいと思います。
オゾン発生器を使用して換気が必要とされるのは、オゾン発生量が多量な業務用オゾン発生器(31mg/h以上)を使用するケースにおいてです。
では、どのタイミングで換気が必要になるのかというと、オゾン作業終了時です。
業務用オゾン発生器を使用する際は、対象空間が高濃度オゾン環境になるため、人や動物は退避して作業をする必要がありますが、一定時間が経過し、オゾン発生器の運転を停止したあと換気が必要になります。
オゾン発生器から放出されたオゾンは空間内の菌やウイルスにアタックして、菌やウイルスとともに消滅するわけですが、菌やウイルスの数が減ってくると、一部のオゾンはアタックせずに空間にそのまま残ります(敵より味方のほうが多い状態のため)。
詳しくは「イラストで簡単に理解できるオゾン消臭除菌の仕組み」をご覧下さい。
そのため、機器の運転を停止・回収のため対象空間に足を踏み入れるとオゾン臭がします。
その残ったオゾンを酸素に戻すために換気を行うのです。
その後、数分から数十分してオゾン臭を感じなくなったら、オゾンが酸素に戻ったということになるため、以降は人や動物がその空間に戻って何ら問題はありません。
ただし、感染対策という観点では、窓を開けると寒い、騒音がうるさいなど、特別な事情がない限り、(オゾン発生器は関係なく)1日に何度か換気を行い、教室内の空気を入れ替えることをおすすめします。